2009年3月23日月曜日
農業後継者の声
毎日新聞『食と農』の特集記事から・・・。
農業者大学校を卒業した後帰郷し、祖父から引き継いだ約20ヘクタールの田畑で米と裸麦を栽培している27歳女性のお話です。
チャレンジする若い人たちにエールを贈りたいと思います。
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≪ 食と農:私の思い 祖父から農業を継いだ、木原美樹さん ≫
毎日jp 毎日新聞 2009年3月23日
http://mainichi.jp/life/food/agri/
「 ◇都会にはない達成感 販売力高めたい
--就農の経緯を教えてください。
木原さん 祖父が農家で、私も12歳からトラクターに乗っていました。でも、周りは60歳以上の人ばかり。「地元で一生を終えたくない。逃げ出せないかな」と考えていました。祖父に農業者大学校への進学を勧められ、東京の学校というだけで入学しました。
農業以外に自分を生かせる仕事があると思い、家電量販店やデパートの食品売り場でアルバイトをしましたが、心の通い合いが感じられず、「私の仕事」とは思えなかった。次第に、物を作り人に喜びを与えられる人になろうと考え、就農を決意しました。
--目指す農業はありますか。
木原さん 地域に必要とされる農業です。例えば、今年挑戦した菜の花農法。稲刈り後の田んぼに鶏糞(けいふん)と菜の花の種をまくと、春に満開になって地域を彩ります。花畑を人々に開放すれば、田んぼがより身近になる。しかも、収穫せずすき込めばイネの肥料になり、除草剤や化学肥料に頼らない環境に優しい米作りができます。
この農法では、すき込んだ菜の花などの「緑肥」が、イネの茎が太くなり枝分かれが盛んになる出穂(しゅっすい)45日前ごろ、ちょうど効果を発揮します。効率性や生産性を追求してきた従来の農業は否定しませんが、イネや病害虫についてよく知ることで、時には虫さえ味方に付けるような、自然の摂理にかなった農業をやっていきたい。
--苦労は?
木原さん まだ始めたばかりで、本当の苦労は知らない気がします。ただ、祖父によると、台風や塩害で努力が実らないことも多く、収入の増減は悩ましい問題です。国や自治体の助成金を除いた昨年の収支は300万円のマイナスでした。体力的には苦になりませんが、やはり経営面のやりくりが大変ですね。
--それでも喜びの方が大きい?
木原さん そうですね。農繁期に家族とわいわい言いながら作業でき、助け合ってきつい作業を乗り越えると何とも言えない達成感が得られます。都会では「もっと頑張らなくては」という気になりましたが、農業をしていると「人間にできることはそれほどないわ」と、肩の力が抜けて楽に生きられる。人間は自然の一部だと実感できるのです。
--農業は依然として後継者難です。
木原さん 農家出身者は、親や祖父母に「もうからない」と聞かされ、肉体労働の大変さも知っているため、なかなか職業として将来を描けません。私は愚痴るより、自ら栽培方法を工夫し、ゆくゆくは全農頼みでなく、自分でも売れる販売力を高めていくつもりです。最近は若者向けの雑誌で農業が特集され、「やりたい」という声も聞きます。そんな動きが各地に広がれば、食料自給率の向上にもつながるでしょう。【聞き手・松本杏】
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■人物略歴
◇きはら・みき
山口市出身。農業者大学校を卒業した04年、帰郷し就農。祖父から引き継いだ約20ヘクタールの田畑で米と裸麦を栽培している。07年には農業経営も任された。3姉妹の次女。27歳。 」
毎日新聞 2009年3月23日 大阪朝刊
以上
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